ともに暮した日々

 僕は訪問介護という仕事柄、我々のサービスの高齢の利用者さんがお亡くなりになることが多々あります。利用者さんの中には、お子さんが成人し独立して家を離れ、ご夫婦二人で生活されている方々がいらっしゃいます。利用者さんは高齢で配偶者と40年、50年と何十年も付き添って苦楽を共にされています。そして、どちらかが先にお亡くなりになります。

 僕は残された配偶者の元へ挨拶に行き、お話をうかがうことが何度もありました。配偶者との思い出を穏やかな口調で語りながら、目からポロリとこぼれ頬をスーとつたう涙。その涙はどんな宝石よりも美しいのです。