昨年末のレコード大賞新人賞を受賞した、シンガーソングライターの家入レオ18歳。彼女が紡ぎ出す歌詞は、10代だからこそ、紡ぎ出せる歌詞だと思います。尾崎豊もそうであったように・・・。

 彼女の眼光は、他者の心の奥底まで見通すことができるかのような鋭いものです。彼女の生み出す歌詞は繊細で、透明感があり鋭いものです。まるで、ガラスでできた透明なカミソリの刃のようです。

 家入さんが作詞した『サブリナ』という曲の中に「偽りの町に 真実は似合わない」という一節があります。

 しかし、「嘘から出た誠」や「嘘も方便」ということわざがあるように、嘘も悪いものばかりとは限りません。例えば、ある女性と出会ってぶっさいくやな〜と心で感じても、「お美しい」と言った方が、世の中上手くいくことがあります。また実際に、その人も自分に自信を持ち魅力的になっていくということがあります。AKB48を見ていてもそう思います。

 そういう、自分の中にある汚れた部分もうまく利用して、折り合いをつけていくのが大人になっていくことだと思います。

 家入さんのように、繊細な感性を持つ者が、欺瞞に満ちた世の中を生きていくと、つらいことも多いでしょう。しかし、それがあるからこそ佳い歌詞が生まれるはずです。ですので、彼女にとって何が良くて何が悪いのかは僕には判断できません。

 金子みすゞは26歳、尾崎豊は26歳、中原中也は30歳でお亡くなりになりました。3人とも若くして亡くなられています。尾崎豊がもし生きていれば現在47歳です。47歳の彼はどんな歌を歌っているのでしょうか?

 僕は上の三人の詩と家入さんの歌詞に共通するものを感じます。人は、長生きすればよいわけではないかもしれません。結局、何が幸せで、何が不幸かを決められるのは自分しかいません。ですが、家入さんが持っている「家入レオのまっすぐな気持ち」という名の刃が、家入さん自身のいのちを削ぎ落として行かずに、同時に才能も生かせるよう、周りの大人は慎重に家入さんを導いていってほしいですね。