『悪税が日本を滅ぼす』(大村大次郎 新潮文庫)を読みました。以下は僕がこの本の内容で同感できる部分です。

①消費税は格差を広げる
事業仕分けの期間が短すぎる
③キャリア官僚制度の廃止
配偶者控除、扶養控除は絶対に廃止すべきではない
⑤開業医に対する税の優遇の廃止

①について

 年収300万円の人と一億円の人を比べてみよう。
 年収300万円の人は、収入のほとんどを消費に回してしまうので、消費税の支払い額はほぼ15万円である。つまり収入に対して5%の税金を払うことになる。
 一方、年収1億円の人は収入の8割くらいは貯金や投資に回すことが可能であろう。もし8000万円を貯金や投資に回した場合、消費に回るのはの残りの2000万円なので、支払う消費税は収入に対して1%の税金ですむのである。
 つまり、年収300万円の人は、年収1億円の人の5倍の税金を払うことになるのだ。
 太字は本文より引用。以下も同じ。
 
 消費税も一律10%というのはどう考えてもおかしな話だと思います。消費税率10%以上課しているヨーロッパの国々も食品は税率0%や少なめに設定している国がほとんどです。

 逆に生活必需品以外のものにはもっと税金をかけても良いと思います。

 僕はある程度の格差は必要だと思います。しかし、あまりに大きすぎる格差は問題です。

 例えば、トヨタやホンダのハイブリットカー、日産や三菱の電気自動車、マツダの高効率エンジンなどは技術者の執念がなければできない商品であり、その商品が売れて関係者が多くの収入を得るのは当然だと思います。

 また、めちゃめちゃ面白い芸人、ホームランを量産するプロの野球選手、多くの人に感動を与える芸術家を支持する人がいて、多くの人がそれにお金を支払い、多くの収入を得ることに問題はありません。

 自給800円で油まみれになって一生懸命働き、笑顔で接客するガソリンスタンドのスタッフ。

 安い労働力がある外国に工場を移転し、簡単に従業員を首にする経営者(今は派遣社員、アルバイトとよばれ、法的には何の問題もない)

 上記のガソリンスタンドのスタッフと経営者にひどい格差があるのはなぜでしょうか?その格差は理にかなったものでしょうか?上記の経営者はリスクをとったといえるのでしょうか?そこに、創造性はあるのでしょうか?技術があるのでしょうか?社会は進歩発展しているのでしょうか?
 
 また、「金持ちに増税したら金持ちが日本から出て行くのでは」という議論がありますが、これは金持ちをさげすんだ見方だと思います。中には金の亡者もいるかもしれませんが、そんな人達ばかりだとは思いません。

 「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。」これは京セラの経営理念です。これを実践する経営者も多いはずです。

 
 ②については役人はバカではない。まったく必要もない事業を予算計上するわけはないのである。彼らの税金の無駄遣いの手法というのは、表向き必要な事業を作り、その中の見えない部分では無駄遣いするのである。とあります。
 
 ③については②とも関係するのですが、キャリア官僚の場合、同期の一人が事務次官にまで上り詰めたら、他の同期は皆辞める、という不文律がある。とあり、彼らは自分達の再就職先を作るために、せっせと公益法人を作っているのだ。とあります。入社時の筆記試験の成績がよかったからといって、将来、幹部になることが保障されている会社などありえない。とありますが、それが保障されているのが、キャリア官僚なのです。
 
 どう考えても、歪んでいびつで、弊害の方が多いやりかたになってしまったといえるでしょう。

 ④、⑤については、そのとおりです。

 現在、日本政府は消費税増税の動きを見せていますが、小沢さんも野田さんも目的は一つだと思うので妥協点を見つけて協力していただきたいと思います。